自治体営業で信頼される会社は、何を見ているのか
~信頼される会社は、行政に会う前から「相手を知る努力」をしています~
自治体営業で成果を出すためには、提案力やプレゼンテーション力ももちろん大切です。
しかし、行政職員と継続的な関係をつくっている会社を見ると、その前段階に共通する特徴があります。
それは、行政のことをきちんと調べ、理解しようとしていることです。
自治体のホームページを開けば、さまざまな情報があります。
しかし、ただ情報をたくさん集めればよいわけではありません。
どこを見れば、その自治体の方向性が分かるのか。
どこを読めば、実際にお金をかけている政策が見えるのか。
どこを確認すれば、いま行政が力を入れているテーマが分かるのか。
自治体営業では、こうした情報の「見どころ」を押さえることが重要です。
特にAiriが自治体を知るうえで重要だと考えているのが、「行政計画・予算書・報道発表」の3つです。
いわば、自治体営業における「3種の神器」です。
この3つを丁寧に見ていくだけでも、その自治体が何を考え、何に困り、これからどこへ進もうとしているのかが、かなり見えてきます。
目次
1. 自治体営業で信頼される会社は、まず行政を知ろうとする
2. 自治体を知る3種の神器①「行政計画」
3. 自治体を知る3種の神器②「予算書」
4. 自治体を知る3種の神器③「報道発表」
5. 行政職員は「自分たちを勉強してきた会社」を見ている
6. 自治体営業で最後に差がつくのは「凡事徹底」
7. 信頼は、提案する前からつくられている
1. 自治体営業で信頼される会社は、まず行政を知ろうとする
自治体営業を始めるとき、最初に自社の商品やサービスについて説明したくなるのは自然なことです。
「当社にはこんな技術があります」
「このサービスを導入すると、こんな効果があります」
「他の地域ではこのような実績があります」
もちろん、こうした情報も必要です。
しかし行政職員からすると、それより先に気になることがあります。
「この会社は、私たちの自治体のことをどれくらい理解しているのだろうか」
自治体が抱える課題は、それぞれ違います。
人口規模、産業構造、交通事情、財政状況、地域特性、高齢化率、観光資源などによって、政策課題も変わります。
そのため、どこの自治体にも同じ資料を持って行き、同じ説明をしていると、どうしても「一般的な営業」に見えてしまいます。
反対に、
「御市の計画では、このテーマを重点課題として位置づけていますね」
「今年度は、この分野の予算が動いていますね」
「最近、この取り組みを発表されていますが、現場ではどのような課題がありますか」
といった会話ができれば、行政職員が受ける印象は大きく変わります。
自治体営業で信頼される会社は、最初から何でも知っている会社ではありません。
相手のことを理解しようとする努力が見える会社なのです。
2. 自治体を知る3種の神器①「行政計画」
自治体提案営業で、まず読んでおきたいのが行政計画です。
自治体には、地域全体の方向性を示す総合計画をはじめ、さまざまな分野別の計画があります。
子育て、福祉、観光、産業振興、地域交通、防災、DX、環境、教育など、テーマごとに計画が策定されている場合もあります。(個別計画)
行政計画を読む意味は、その自治体が「何を課題として認識し、どこを目指しているのか」を理解することにあります。
たとえば、自社が地域交通に関するサービスを持っているとします。
単に「交通サービスがあります」と提案するのではなく、行政計画を読んで、
高齢者の移動手段が課題なのか。
公共交通の利用者減少が課題なのか。
観光客の二次交通が課題なのか。
郊外地域の交通空白が課題なのか。
それらが現在どこまでできていて、どこまで進めないといけないのか。
ここまで理解できれば、提案の方向性はかなり変わります。
同じサービスであっても、地域課題との結びつけ方によって、行政にとっての意味は変わるからです。
企画提案書を行政向けに作る場合も、行政計画を踏まえているかどうかは重要です。
行政計画に書かれている現状認識や政策目標と、自社の提案がどうつながるのか。
そこを整理することで、提案は単なる商品紹介ではなく、政策課題に対する解決策として見てもらいやすくなります。
3. 自治体を知る3種の神器②「予算書」
行政計画が「これから何をしたいのか」を示すものだとすれば、予算書からは「実際に何へお金を使おうとしているのか」が見えてきます。
自治体営業では、この違いを理解することが非常に重要です。
計画に重要だと書かれていても、その年度に具体的な予算がついているとは限りません。
逆に、予算書を見ることで、その年度に具体化している施策が見えてくることがあります。
どの分野に予算がついているのか。
新規事業なのか、継続事業なのか。
どの部署が担当しているのか。
どのくらいの事業規模なのか。
こうした情報を見ていくと、自治体の「今」が具体的になります。
また、前年度との違いを見ることも大切です。
予算が増えている分野があれば、自治体として力を入れ始めている可能性があります。
新しく登場した事業があれば、新たな政策課題への対応かもしれません。
自治体営業の方法を考えるとき、予算書を見ることは単なる数字の確認ではありません。
行政計画に書かれた方針が、どこまで具体的な事業になっているのかを確認する作業なのです。
行政計画と予算書をセットで見ることで、自治体の方向性と実際の動きを、より立体的に理解できるようになります。
4. 自治体を知る3種の神器③「報道発表」
3つ目が報道発表です。
報道発表を見ると、その自治体が「今まさに何を動かしているのか」が分かります。
新しい事業の開始。
民間企業との連携。
新制度の導入。
イベントや実証実験。
地域課題への新しい取り組み。
こうした情報は、自治体営業にとって非常に重要です。
なぜなら、行政計画は中長期的な方向性、予算書は年度単位の事業を示しますが、報道発表からは、より直近の動きを把握できるからです。
たとえば、自社に関連するテーマで新しい取り組みが発表されていたとします。
その場合、いきなり「当社の商品を使ってください」と連絡するのではなく、
「今回発表された取り組みを拝見しました」
「民間の現場では、こうした事例があります」
「今後進める中で、参考になる情報があれば共有できます」
という入り方ができます。
相手が発信している情報をきちんと読んだうえで会話を始めるので、行政職員にとっても話の背景が分かりやすくなります。
自治体提案営業では、「何を売るか」だけではなく、相手がいま何を考えているのかを知ることが重要です。
報道発表は、そのための非常に有効な入口になります。
5. 行政職員は「自分たちを勉強してきた会社」を見ている
行政職員も、一人の人間です。
自分たちの自治体について何も調べず、いきなり商品説明だけをする会社と、行政計画や予算、最近の取り組みまで調べたうえで話をする会社。
どちらと話をしたいと感じるかは、想像しやすいと思います。
行政を勉強してから訪問することには、もう一つ意味があります。
それは、「この会社なら、きちんと仕事をしてくれそうだ」という印象につながることです。
行政の仕事では、契約後に約束を守ること、期限を守ること、仕様を守ること、必要な報告をすることが非常に重要です。
だからこそ、営業の段階から相手のことを丁寧に調べ、準備してくる会社は、その姿勢そのものが一つの評価材料になります。
もちろん、資料を読んだだけで信頼されるわけではありません。
しかし、
「きちんと準備してきている」
「自分たちのことを理解しようとしている」
「地域課題を一緒に考えようとしている」
という積み重ねが、その後の関係づくりに影響します。
自治体営業における信頼は、契約した後に初めて生まれるものではありません。
最初の情報収集や面談準備の段階から、すでにつくられ始めています。
6. 自治体営業で最後に差がつくのは「凡事徹底」
自治体営業では、特別な営業テクニックばかりに目が向きがちです。
しかし、行政職員から信頼される会社ほど、意外に当たり前のことを丁寧にやっています。
約束した日に連絡する。
依頼された資料を期限内に送る。
質問された内容にきちんと回答する。
分からないことを曖昧に答えない。
面談前に相手の情報を確認する。
前回の会話を覚えておく。
どれも難しいことではありません。
しかし、この「当たり前」を毎回徹底できる会社は、実はそれほど多くありません。
行政との仕事では、派手な営業トークよりも、こうした日頃の姿勢が信用につながります。
特に行政は、住民の税金を使って仕事を発注する立場です。
「この企業に任せても大丈夫か」
「期限を守ってくれるか」
「問題があったとき、きちんと対応してくれるか」
こうした安心感は、非常に重要です。
つまり、自治体営業における「凡事徹底」は、単なるマナーではありません。
受注後の仕事ぶりを営業段階で想像してもらうための信頼形成でもあるのです。
7. 信頼は、提案する前からつくられている
自治体営業で信頼される会社が見ているのは、特別な秘密情報ではありません。
行政計画。
予算書。
報道発表。
多くの場合、行政自身が公開している情報です。
差がつくのは、その情報があることを知っているかどうかではありません。
実際に読み、理解し、自分たちの提案や会話に生かしているかどうかです。
行政計画から中長期の政策課題を知る。
予算書から実際の事業の動きを知る。
報道発表から直近の取り組みを知る。
そのうえで、行政職員と同じ地域課題を見ながら、自社が提供できる情報や技術、アイデアを考えていく。
これが、自治体提案営業の基本です。
そして最後は、約束を守る、期限を守る、きちんと準備するという当たり前のことを積み重ねる。
自治体営業で信頼される会社は、何か特別な裏技を使っているわけではありません。
相手を知ろうとし、相手の仕事を理解し、当たり前のことを丁寧に続けている会社です。
行政との関係づくりは、一度の営業訪問で決まるものではありません。
小さな信頼を一つずつ積み重ねた先に、情報交換、提案、プロポーザル、そして受注へとつながる可能性が生まれていきます。
まずは、自分たちが提案したい自治体の「行政計画・予算書・報道発表」を開いてみる。
自治体営業の第一歩として、そこから始めてみてはいかがでしょうか。
(ご質問・お問い合わせは以下からご遠慮なく下さいませ)

行政ナビ
官民連携のエキスパート集団・ Oneness Link株式会社(代表取締役:砂川章雄)では、企業と行政をつなぐ専門的なサポートを提供いたします。
#行政とつながる #地域課題 #官民連携 #自治体営業 #行政ナビ #入札 #プロポーザル #仕様書 #受注 #コンサルティング