PERSPECTIVE 官民の視点

「行政向けに売る」ではなく「行政と組む」という考え方

 

「行政向けに売る」ではなく「行政と組む」という考え方
~自治体営業や行政営業で見直したいのは、売り方より関わり方です~

 

行政との仕事を目指す会社の中には、「どうすれば行政向けに売れるのか」と考えるところが少なくありません。
自社の商品やサービスを、どう行政向けに見せるか。どんな提案なら通りやすいか。どのように営業をかければ受注につながるか。
こうした発想は自然ですし、企業として結果を求める以上、無理もありません。

ただ、自治体営業や行政営業では、この「行政向けに売る」という発想だけで動くと、どこかで限界が出てきます。
なぜなら行政は、単なる販売先や顧客ではなく、地域課題に向き合う立場にあるからです。
そのため、民間営業の延長で「売る」ことばかりを考えると、相手の仕事や使命との間にズレが生まれやすくなります。

ここで大切になるのが、「行政向けに売る」ではなく、「行政と組む」という考え方です。
この見方に変わると、自治体提案営業や行政営業の進め方そのものが変わってきます。
提案の内容も、会話の入り方も、相手との関係の作り方も、少しずつ現実に合ったものになっていきます。

 

目次

1. 「行政向けに売る」発想だけではズレが生まれやすい
2. 行政は顧客というより地域課題に向き合う相手である
3. 行政と組む発想に変わると提案の組み立てが変わる
4. 自治体営業で大切なのは一緒にできることを考えること
5. 「行政向けに売る」ではなく「行政と組む」という考え方

1. 「行政向けに売る」発想だけではズレが生まれやすい
民間営業では、「相手にどう売るか」を考えるのは当たり前です。
相手のニーズを見て、自社の強みを整理し、価値を伝え、契約につなげる。
この流れは自然ですし、多くの場面で有効です。

ただ、行政相手になると、この発想だけでは足りないことがあります。
行政は利益を追う組織ではなく、住民福祉、地域課題、公平性、説明責任、予算の妥当性といった前提の中で動いています。
そのため、「このサービスは良い」「便利そうだ」「優れている」といった理由だけでは動きにくいのです。

ここで「行政向けに売る」発想が強すぎると、どうしても自社中心になりやすくなります。
何を売るか、どう見せるか、どう受注するかが前に出て、相手の使命や地域課題との接点が薄くなりがちです。
結果として、話は聞いてもらえても、どこか行政の仕事とつながらず、深い関係に育ちにくくなります。

つまり、行政相手に必要なのは、単なる売り方の工夫ではなく、関わり方の発想転換なのです。

2. 行政は顧客というより地域課題に向き合う相手である
「行政と組む」という考え方を持つためには、まず行政を見る目を変える必要があります。
行政を単なる顧客や販売先とだけ見ていると、どうしても受注の話が先に立ちます。
しかし行政の本来の役割は、地域課題に向き合い、住民の生活を守り、より良くすることです。

高齢化、交通、子育て、観光、防災、地域産業、人手不足、地域経済の活性化。
扱うテーマはさまざまですが、最終的には住民の暮らしや地域の未来に関わっています。
そのため行政は、単にサービスを買いたいのではなく、地域の困りごとに対して一緒に動ける相手を求めている面があります。

この視点に立つと、行政営業や自治体提案営業は「売り込み」より「接続」の仕事になります。
つまり、自社の強みを地域課題にどうつなげるか、行政の施策の中でどう意味づけるかを考える必要があるのです。
ここが見えてくると、行政との会話の質も大きく変わってきます。

3. 行政と組む発想に変わると提案の組み立てが変わる
行政と組む発想を持つ会社は、提案の組み立て方が変わります。
「うちのサービスを導入してください」という出し方ではなく、「この地域課題に対して、こういう形で一緒にできることがあります」という形に近づいていきます。

たとえば、民間では「売上向上」「業務効率化」「新規顧客獲得」といった言葉が自然でも、行政にはそのままだと伝わりにくいことがあります。
そこで、「住民サービスの向上」「職員負担の軽減」「地域内経済への波及」「交流人口の拡大」といった形に整理していくことで、行政の仕事との接点が見えやすくなります。

また、企画提案書を考えるときも同じです。
企画提案書 行政という観点で見ると、自社の強みを一方的に並べるより、行政の課題や方針、施策との関係を整理して見せる方が強くなります。
行政と組む発想がある会社ほど、提案書も「売り込み資料」ではなく、「一緒に進めるための設計図」に近づいていくのです。

4. 自治体営業で大切なのは一緒にできることを考えること
自治体営業のやり方を考えるとき、多くの会社は「どうすれば受注できるか」に意識が向きます。
もちろん受注は大切です。
ただ、行政との関係を長く育てていく会社は、最初から受注だけを見て動いていません。

それよりも、「この自治体が今向き合っている課題に、自社はどう関われるだろうか」「今すぐでなくても、どんな情報や視点を渡せるだろうか」「どの段階なら自然に一緒に動けるだろうか」と考えています。
この発想がある会社は、行政にとっても話しやすい相手になります。

行政と組むというのは、何でも行政に合わせるという意味ではありません。
自社の強みや技術、サービスを持ったうえで、それを相手の仕事とどうつなげるかを考えることです。
自治体営業 方法を考えるうえでも、この視点はとても重要です。
売ることを急ぐより、一緒にできることを考える方が、結果として関係も提案も前に進みやすくなります。

5. 「行政向けに売る」ではなく「行政と組む」という考え方
ここまで見てくると、行政相手に必要なのが単なる営業力ではないことが分かってきます。
重要なのは、行政を「売る相手」としてだけでなく、「地域課題に一緒に向き合う相手」として見られるかどうかです。

この見方に変わると、提案の中身も変わります。
会話の入り方も変わります。
何を伝えるかだけでなく、何を一緒に考えるかという姿勢が出てきます。
その違いが、自治体営業や行政営業の結果を少しずつ変えていきます。

「行政向けに売る」ではなく「行政と組む」という考え方。
これはきれいごとではなく、実際に行政との関係を深めるうえでとても現実的な発想です。
相手の使命を理解し、地域課題との接点を見て、自社の価値をその文脈で整えていく。
その積み重ねがある会社ほど、行政との距離を無理なく縮めていけます。

そしてその先に、提案、連携、受注といった具体的な可能性が少しずつ形になっていくのです。

 

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