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官公庁・自治体事業拡大への道4 ~提案活動~

官公庁・自治体事業拡大への道4 ~提案活動~

前回は、ターゲット自治体の見極めについてお話ししました。今回はいよいよ、自治体への提案活動の進め方についてお話しします。

1)提案に必要な4つの要素

まず最初に、提案に必要な4つの要素についてお伝えします。それは、
 ①現状・背景 ②課題 ③解決策 ④得られる効果
です。
①現状・背景
  いま自治体がどのような状況なのか、どこに向かおうとしているのか
②課題
  そこでどのような課題が生じているのか、何がネックとなって目標に到達できていないのか
③解決策(=事業)
  その課題を解決するために、いつ、どこで、誰が、どんなことをする必要があるのか
④得られる効果
  その解決策(=事業)によって、どのような効果があるのか
この4つをまとめて「提案のストーリ」と呼びます。この提案のストーリを形作るためにいろいろなところから情報を持ってきたりアイデアを盛り込んだりするわけですが、概ね以下のような構図になります。

①現状・背景と②課題については、官公庁・自治体が公表している様々な文書(行政計画、白書、議会議事録、報道発表、予算書…)などに書かれている情報や、民間の調査会社が公表しているデータ、最新のニュースや記事、そして身近な体験・経験に基づいて考えます。
ここで、自治体職員が知らないようなデータやファクトが織り交ぜられていると、「おっ、なるほど!」と関心を持ってもらえます。なので、身近な体験や自らの経験も意外と大事だったりします。
逆に、行政計画に書かれているような事実と全く異なる現状認識や課題認識にしてしまうと、「何だか的外れなこと言っているな~」と思われてしまいます。そのあたりは最低限、目を通しておく必要があります。
そして③解決策(=事業)です。②の課題を解決できる方策をここで設定します。ここで大事なことは、「地域住民のための施策である」ことと、「自社の強みを盛り込んだ施策である」ことを両立させることです。従って、自社が得意なことを無理やり盛り込んでも、「それは地域住民のために本当に必要なの?」となってしまいます。「住民のための施策としてこういう要素が必要ですよね」という形で客観的な必要性をもとに、自社の強みを盛り込むことが大事です。

この4つの要素が大事な理由は、必ず予算要求の際に説明を求められる項目だからです。京都府宮津市の議会説明用予算資料(右図)を見ていただくと、①~④で予算説明資料の大枠が埋められることが分かります。

2)「ざっくり提案ストーリ」を当てて反応を見る

さてこうして①~④を考えたら、その「ざっくり提案ストーリ」を実際に自治体職員にぶつけて反応を見てみましょう。
 ここでのアポの取り方は、大げさに「ご提案をお持ちします」という形でなくても構いません。私がよく使うのは、「(行政計画や報道発表など)~~を拝見しました。それについてもう少し詳しくお話を聞かせていただけませんか。私の方からは参考情報と施策のご提案等をお伝えできればと思います。」という感じで、お話を聞かせていただきたいというアポの取り方です。行政側は自らが公表していることについては説明責任がありますから、アポを受け入れやすくなります。
 そうして自分の課題認識と解決策の方向性がある程度、役所側の考えと合っているのかどうか、大まかな方向性を確認します。あくまでおおよその方向性を確認したいので、たいそうな資料は必要ありません。ざっくり提案ストーリを資料化するにしても、1枚~数枚程度でまずは十分です。慣れてくれば、資料なしで口頭で意識合わせするのでもO.K.です。なので例えばお互い顔なじみの喫煙者の場合には、タバコ部屋で済ませてしまうこともあります。
 そして、解決策を考える上でも、いろんな考え方ができます。下右図をご覧いただくと、例えば「Co2削減のためにEV車の普及を促進する」という目標のために、いろんな解決策すなわち政策手法が考えられることが分かります。このあたりの方向性をまずは確認します。

3)自治体職員とやり取りしながら、提案をブラッシュアップ(玉磨き)

 さあここからが提案活動の始まりです。上記のようなざっくりとした提案を出してみて、いきなり「それいいですね、では予算化しましょう!」ということにはなりません。自治体職員が「それはいい考えだね!」と思ってくれれば、そこから提案活動がスタートします。自治体職員と意見交換、情報交換を重ねながら、提案をブラッシュアップしていくこと(玉磨き)が必要です。
 その際に気をつけるべきポイントは、

  • 〇 いかに地域課題の解決に繋がる提案か!?
      本当に住民の生活向上に繋がるか!?
  • 〇 自社のことを言う必要なし!「売り込み」は逆効果
  • 客観的データ、裏付けがあるとよし!
  • 他の自治体での事例があるとよし!(類似事例でも可)
  • 〇 「得られるもの」、施策導入効果もなるべく数字で示してみる!
  • 〇 なにか必ず『宿題』をもらって、次の訪問時に返すようにする!

ということです。こういう点に気をつけながら自治体職員と意見交換を重ねて、こちらからも追加情報を何度も持っていき提案をブラッシュアップしていくと… 半年程度で「ではお見積りを下さい」というステップに繋がります。

4)予算化スケジュールを理解した提案活動の推進

こうして提案活動を深めていくわけですが、自治体は決められた予算スケジュールの中で動いています。これを理解して進めないと、提案が受け入れられません。
自治体の予算スケジュールは、概ね下図の通りです。
(4月~6月)自治体では、様々な情報収集を行い、どのような事業を予算化するか頭の中で検討する
      時期です。この時期は幅広く情報収集していますので、事業者からの提案にも耳を傾ける
      時期となります。提案活動はこの時期にスタートします。また、提案する事業がざっくり
      どのくらいの予算がかかるものなのか、超概算見積りを求められることもあります。
(7月~10月)具体的な予算施策を考えていく時期です。ここで予算案のおおよその方向性を決めて
      いきます。どんな手法で、どの範囲で、どの規模で事業を行うのか決めていきます。
      特に、9月頃の首長の予算編成方針が出され、それに沿って各部門ごとの予算枠も示される
      ので、その範囲内に収まるようにどの予算でいくら要求するのか、金額もはじいていき
      ます。
      その上で、各原課から10月末頃に財政課に予算案を提出します。なので正式な見積書を
      下さいと言われるのもこの時期です。提案した事業が予算案として上に上がったのか
      どうかはしっかり確認しましょう。
(11月~12月)予算案を財政課に提出した後、財政課からのヒアリングに備える時期です。財政課
      はその予算事業を行うべきかどうか判断するため、例えば以下のようなことを聞いて
      きます。
      ① 全体のストーリ、ロジックの整合性(整合性)
      ② 来年度にやらないといけないことか?(喫緊性)
      ③ 本当に自治体予算でやらないといけないことか?民間に任せればいいんじゃないの?
       (行政がやるべき必要性)
      ④ その事業をやって本当に効果があるの?(実効性)
      ⑤ 他の手段の方がいいんじゃないの?(適切性)
      ⑥ 金額は本当に妥当なの? 他の自治体でも事例はあるの?(妥当性)
      われわれ提案事業者としても、上記の財政課ヒアリングを乗り越えられるよう、様々な
      データや、他の自治体での事例、詳細な積算根拠の提示などでサポートして予算化を支援
      していきます。ここが事業提案の山場です。
(1月~3月)予算案の議会承認を得る時期です。議会から質問が出れば答える必要があるため、役所側
      は少しピリピリしている時期となり、あまりアポも取れない時期です。動きの速い役所は
      この時期にもう発注準備を開始することもあります。提案事業者としても、詳細な仕様化
      に向けて用意しておく時期となります。
      (同時に、次の予算要求に向けて、行政計画を読み込んだり、新たな情報収集をしながら
       次の提案を考えていく時期でもあります。)

まとめ

さてここまで自治体への提案活動の流れとポイントについてお話してきました、ご理解は進みましたでしょうか?繰り返しになりますが、大事なことは「地域の役に立つ施策を提案する」ということです。そこをしっかり押さえて提案していけば、自治体職員も話を聞いてくれますし、真のパートナーになっていけます。
次回は、入札の形態と対応のポイントについてお話しします。

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